しんとしたハコの空気をはらうように、加瀬さんの明るい声。「宜しくお願いします」。歯切れのいいカッティングで始まったのは、R&Bアレンジでスピード感もある"紅い華"/一昨年の live 〜showcase〜 "tears" で披露された曲。ガット・ギターを手にする加瀬さんも見るのも久しぶり....そして、もう
"showcase" じゃない。歌い始めて2年とちょっと。加瀬さん、声の伸びも 込めた想いも、もはや堂々とした「Singer」っぷり。そしてもぅ、もーぅ(笑)この曲の聴きドコロと言えば、パーカッシブなギターですよ!(大好き)
間奏の「ギター1本で3本分」のフレーズは、何度聴いてもすごすぎ。....実は、加瀬さん曰く初めて演るハコで鳴りがわからないから、間奏部分はカットするつもりだったそう。が、リハでやってみたらすごく音が良くて、「やろ」....と決めてました(当日かよ)。 |
曲の間は聴き入ってる客席も、曲が終わると先ほどの「告白」がよみがえるようで....「一旦忘れてください(笑)」と加瀬さん。続いては、最近加瀬さんがサウンド・プロデュースを手掛け、加瀬コムの「トモダチ対談」でもお馴染み・森久保祥太郎さん率いるAN's
all starsのカバー/力強いメッセージ・ソング、"brand new day"。....AN's all starsと言えば、フル編成のRock Bandであり、しかもツイン・ボーカル(!)。そのAN'sのナンバーをガット・ギター1本で/ひとりのSingerで演らないよ、普通。普通じゃないから演るんだけど(爆)。歌ってるよ、この人ふたり分(汗)。ただでさえ早い曲に乗る、想いの詰め込まれた歌詞をためらいもなく歌いきる。 |
軽く自己紹介のMCをはさんで....と、ここで注目。加瀬竜哉Singerキャリア初のステージドリンク(....)。ただのステージドリンクなんだけど、別にどーってことないんだけど思わずシャッター(笑)。
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そして、ガットの柔らかいアルペジオで始まったのは"涙のあと"。....昨年2月、すでにお馴染み・『バンドの花道』に初出演した時にも歌ったこの曲、それもあって、かなりの回数聴いてきたんじゃないかな。その中で最高だったよ、今夜のは。歌そのものも、込められた優しさも。成長しなきゃ続ける意味はないって、加瀬さんは言い続けてきた。それは自分に対しての厳しさではあるけれど、何かにつけてすぐそばでこういう瞬間を見ると、どんな叱咤激励よりも励みになる。負けるもんかって(....大きく出たな)。 |
次は新曲/"bloody moon"。今年4月にあったflower travelin' tour。そのツアー中に作った曲。....旅先でもじっとしてませんね(爆)。ってか、根っから音楽で出来てるんですねこの人。「福岡で見た、赤い、大きなお月さま....それを忘れないうちに歌にしておこうと思って」。ツアーに同行してた私も、その夜の月は見てます。本当に真っ赤で、大きな月でした。赤い月と言えば禍々しいものを想像しがちだけど、加瀬さんの目にはあくまで優しく映ったようです。─答えてcherry moon 明日の微笑の行方を─ ....拍手が消えないうちに、アルペジオで始まった曲"???".......まだ発売前なので曲名は出せないのですが、加瀬さんがアレンジを手がけた某バンドのカバー。実は私、初めてこの曲を聴いた時、ぼろぼろ泣いた。拙くて、不器用で、ひたすら一途な言葉たち。聴き終わって、加瀬さんと「いい歌でしょ?」と訊かれ、頷きあったことを覚えてます。そのくらい好きな歌であり、木訥さが大好きな歌うたいさん。そして加瀬さんの歌うコレは、また違った色を持ってた。間奏前の消え入るようなフェイクがとても切なかった。 |
続いてのMC/「今年43歳、音楽を始めて28年....今年3月、僕がもっとも影響を受けた....もっとも大好きな、アメリカのロック・グループのメンバーが亡くなってしまいました」─2007年3月9日/Brad
Delp逝去。当日の情報の混乱ぶりが偉大さを顕していたと思う。憶測やどこかの筋の情報が飛び交っても、ただ確かなことは、彼の時間は止まってしまったということ。....そして、彼の歌は永遠に残るということ。「僕がいちばん好きな彼の歌を歌います」─一瞬、天を仰いで歌い始めたのは、"a man I'll never be"。─that everything is just, the way it seems─ あんな風には歌えないよ....と言ってた加瀬さん、加瀬さんの声で歌ってあげることが大切なんだと思う。いつか、ピアノver.でも聴きたい。 |