リセット   (新潮文庫)  2003/10/26
 『スキップ』『ターン』、そしてこの『リセット』で《時と人》三部作 ― 実は、正直前半眠気に襲われたんですけど(核爆)、読み終えてみるとその"前半"がいかに大切なものであるかということ/もう一度読み直しました。いちばん胸が震えたのは、33年という人生を、凛として歩いた「真澄」。凛と....まさにそう。
かの時に言ひそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど
....啄木読みたくなった。
 月の砂漠をさばさばと   (新潮文庫)  2003/04/12
収録作品:くまの名前/ダオベロマン/さそりの井戸/さばのみそ煮 他 全12編
 小説?童話?絵本? ま、何だって良い。9歳の「さきちゃん」と作家である「お母さん」のお話。ひたすらひたすら温かいお話。
 覆面作家の夢の家   (角川文庫)
収録作品:覆面作家と謎の写真/覆面作家、目白を呼ぶ/覆面作家の夢の家  全3編
 『覆面作家』シリーズ最終章。「〜夢の家」、ラストのお嬢さまの言葉....あぁ そう、そう言える気持ちがすごくわかる。 そう言えるコトがまた“おめでとう”であり、少し“ウラヤマシイ”でもある。 所詮小説と言うなかれ。 事実は小説より奇なり。
何が言いたい? また、「〜謎の写真」 での影のヒロイン・さくらさん。 ....わかるぞ、その気持ち(涙) 本当に男性が書いたとは思えないココロのあり方。 でも最近、書店で北村氏の新刊見かけないの(泣) うー早く出ないかなー(ToT)
 覆面作家の愛の歌   (角川文庫) 
収録作品:覆面作家のお茶の会/覆面作家と溶ける男/覆面作家の愛の歌  全3編
 『覆面作家』シリーズ第二弾。 今回も期待を裏切らない....というか、期待はるかに超えてくださってます(涙) ただ、この1冊に関しては、一度読み終わった後で 巻末の大多和伴彦氏の解説までしっかり読んで欲しい。 でもって、もう一回 読み直すと。(←そうした人/笑) 物語にはめ込まれた情景に、北村氏の優しさが改めて見えてきます。 今日、二度目を読み終えて、私も少しだけ助けていただきました。またしても『the day's angel』
 覆面作家は二人いる   (角川文庫)
収録作品:覆面作家のクリスマス/眠る覆面作家/覆面作家は二人いる  全3編
 『覆面作家』シリーズ第一弾。前々から本屋さんで見かけていたけど、その....表紙がちょっと....(すすすすすみません) いやそのーワタシ好みではないというだけで、決して●野氏の絵がキライというわけではないのですよっっ(汗/読む前から登場人物の像を印象づけられるものは苦手である....) が、お話は....あぁ やはりツボだ(涙) なんで北村作品はこんなにツボなのだろう(さらに涙) 主人公は“お嬢様(兼作家)探偵”と その担当者“岡部良介”のコンビ。“お嬢様名探偵登場!”とオビに銘打ってあったので、それもちょっとひいてしまう要因ではあったのだけれど(^^;) なんてイヤミがないんだろう(しつこく涙) もうその他の登場人物 ― 「執事」(笑/作中でも「本当にそんな職業があったのか....」などと評される)の赤沼さん、良介の双子の兄で刑事・優介 などなど、言ってしまえば「よくある」パターンだけども........北村氏の手にかかるとなんでこんなにっ(とことん涙)
 すでに第三弾くらいまで出てたな、確か。読むぞっ(^-^)
 冬のオペラ   (中公文庫)
収録作品:三角の水/蘭と韋駄天/冬のオペラ  全3編
 名探偵「巫弓彦」とその助手(が、主人公はこちら)「姫宮あゆみ」シリーズ。シリーズといっても続編が出ているのかどうか....勉強不足ですみません(汗)いわゆる「名探偵シリーズ」ものとはちょっと違う。世の中に「名探偵」が扱う事件なんてそうそうあるもんじゃない。なので、この巫(かんなぎ)名探偵は生活の糧を得るために週3日バイト(それもBeer Hallだの新聞配達だの/涙)をしている。と、書くとコメディのように聞こえるけども、この名探偵、安物のスーツに身を包みつつ、あくまでクール。「名探偵はなるのではない。存在であり、意志である」....かっこいいじゃないですか(笑)その金銭的には報われない名探偵生活ですが、扱う事件はやはり北村作品。事件の根っこ、奥の方に必ず悲しさと思いやりがあります。この人の作品を読んだ後はいつも温かいモヤモヤが残る。
 続編、書いてもらわないと困るんですが。姫宮あゆみの生い立ち、伏線だけ(それも「ちらっ」と)張って放っとかれるのはいじわるです(笑)うー。
 ターン   (新潮文庫)
 正直、序盤はあまり....なんだか今までの作品に比べてグイグイっていうのが物足りないなぁと思っていたんだけど、中盤あたりから来ました。グイグイが(笑)。読後感が↓『水に眠る』収録の「恋愛小説」のような感じ。あり得ないことなんだけども、この内容をすべて心の動きととらえてしまえば、あり得る。というか、あってほしいことだと思う。自分にじゃなくても世の中にひとつくらいは(笑)。day dream believerと嗤わば嗤え(笑)。
 スキップ   (新潮文庫)
 早送りの意。『秋の花』で逝く人となった「津田真理子」が主人公と知って買った....というのも、前々から書店で見かけてたんだけど、あまりの厚さに(本編553頁/汗)手が出なくて(^^;) ところが主人公は一ノ瀬(桜木)真理子。あれっと思ったけど、読み終わって納得。主人公は、「意志の人・真理子」。何でもこの本、とても幅広い年齢層が読者であるらしい。それも納得。登場する「池ちゃん」は『円紫師匠....』の正ちゃんと似たタイプ。似てるだけで、やっぱり別の存在なんだけども。この「池ちゃん」と「真理子」の最後の場面。ええ、泣きましたとも。それも嗚咽が出るほど。
 しかし、今手元には、ほぼ同じ厚さの『ターン』が待っている。できれば時間をとって、一気に読みたいなぁ....。
 六の宮の姫君   (創元推理文庫)
 『円紫師匠と「私」』シリーズ第四集。
 芥川龍之介の同名の作品を「推理」する物語。こんなもの論文で読んだひにゃ、多分1ページめくらないうちに挫折してるだろうけど(笑)。北村マジックやわ〜おもしろいのなんの。それに触発されて神田の古書店めぐりをしようと思い立った私は....なんて素直ないい子だろう!
 すでに第5集「朝霧」も刊行されているらしい....早く文庫版出ないかな。
 秋の花   (創元推理文庫)
 『円紫師匠と「私」』シリーズ第三集。
 シリーズで初めて「逝く人」が登場。(しかしその「逝く人」は、北村氏の別の小説に主人公として登場しているらしい。未読で良かった〜!!で、すでに今日買った。ははは) 《紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る》P220での「私」と円紫師匠のやりとり。不覚にも新幹線の中で泣いてしまいました。....ガラガラだったからいいけど(笑)。温かすぎる。言霊は、ホントにあるねー。
 夜の蝉    (創元推理文庫)
収録作品:朧夜の底/六月の花嫁/夜の蝉  全3編
 『円紫師匠と「私」』シリーズ第二集。
 『その世界にあるのは光だけではない。影もある。人間の悪意もあれば、どうしようもない運命のいたずらもある、悲しみもある。だが、どれも実に人間的だ。影まで、悪までひっくるめてひとを見る暖かな目が貫かれている。だからこそ、生きていようじゃないか、人間ってそう捨てたものじゃないよ』北村作品に対する、解説/吉田利子氏。グゥの音も出ない。
 空飛ぶ馬  (創元推理文庫)
収録作品:織部の霊/砂糖合戦/胡桃の中の鳥/赤頭巾/空飛ぶ馬  全6編
 『円紫師匠と「私」』シリーズ第一集。殺人事件のない「推理小説」。すごすぎる。「胡桃の中の鳥」の正ちゃん、「赤頭巾」における「私」と「お父さん」のやり取り、「空飛ぶ馬」の国雄さん父子。....心と涙腺に、グサグサきます。↓の「水に眠る」があったから、ガクッとくるような内容だったらどうしようと思ってたけど、珍しく一目惚れを裏切られなかった。
 水に眠る  (文春文庫)
収録作品:恋愛小説/水に眠る 他 全10編
 この人の作品、この1冊しか持ってません。でも、とにっかく好きな本で10回以上読んでる。私の大好きな「行間を読め」の連発。いろんな「愛情」についての短編集。